カッパドキアの目玉の木 Nazar Tree in Cappadocia
鳩の谷に立つ邪眼除けの木
I met the tree of Nazar Boncugu
▼生命の樹:ナザールの木(トルコ・カッパドキア)▼Tree of Life in Cappadocia(Türkiye)
▼シンボル:邪眼除け、魔除け
世界遺産のカッパドキアの岩石遺跡群。キノコ岩やとんがり帽子形の岩が連なる、なんとも不思議な風景が広がる。そのひとつ、ウチヒサールにある「鳩の谷」に立っていたのがこの目玉の木だ。トルコ人なら誰でも持っている、ガラス製の美しいブルーの目玉のお守り。邪眼除けの護符ナザール・ボンジュウNazar Boncuguが枝という枝にぶら下がっていたのである。トルコでは、邪眼(じゃがん)、邪視(じゃし)といって、悪意ある視線でにらまれると不運や病気が身に降りかかるとされ、ナザール・ボンジュウはそれを防ぐお守り。とくにトルコで怖がられているのが嫉妬の感情だ。嫉妬、ねたみ、そねみでいっぱいの視線を浴びると災いが起きると信じられ、このお守りを持っていると、悪意の目をはねつけ、不運を打ち砕き、身を守ることができると考えられている。観光バスの運転手も窓やハンドル、運転席のいたるところにこのお守りをつけていた。
目玉の木が立つ「鳩の谷」は、同じ地球とは思えない風景に圧倒される。ちょうど正面には、奇岩にいくつもの穴があいた住居跡があり、本当にこんなところに人が住んでいたのだろうかと不思議でならなくなる。その穴ではかつて伝書鳩を育てられたことから、谷の名前がついたという。谷を見下ろすように立つ、ナザール・ボンジュウ!目玉いっぱいの木。枝に何かをぶら下げることは、古来、「生命の樹」に願いをかけることだ。美しいブルーの目玉によって、その場所が邪眼除けの空間に仕上げられているのだろう。カッパドキアの別の場所とは全く違う、神聖な雰囲気があり、それでいて素朴な、清められた気に満ちているように感じた。ナザール売りのお兄さんも商売っ気もあまりないし、また訪れて、ゆっくり過ごしたい静かな、静かな場所である。
DATA of TREE
◎樹齢:不明
◎樹高:不明
◎幹周り:不明
◎所在地:カッパドキア、ウチヒサール「鳩の谷」
◎この木に会いに行くには:「鳩の谷」の頂上にある。Pigeon Valley of Cappadocia(Türkiye Cumhuriyeti)(2009年10月撮影)